水泳といろいろな健康を考えるシリーズ。
水泳は、心肺機能や、生活習慣病などにも良いとされています。
一方で、プールでは、健康上、注意しておくべきこともいくつかあります。
例えば、プールに含まれる細菌や、プールの消毒する際に生じる化学物質など、環境中のもの。そのほか、怪我や事故なども、気を付けなければなりません。
今日は、とくに、子供の呼吸機能やぜんそくと水泳の関係について見ていきましょう。
呼吸機能
呼吸機能について補足しておきます。
呼吸機能検査(スパイロメトリー)を使って測定されます。
被検者が大きく息をすいこんだ後に、思い切り吐き出した空気の最大量を努力肺活量 (FVC Forced Vital Capacity)と呼びます。
また、努力肺活量測定の最初の1秒間の努力呼気量を1秒量(FEV1)と呼んでおり、これを努力肺活量でわったものをFEV1%と呼びます。
こどもの呼吸機能と水泳
メタ分析の結果、 こどもの1秒量(FEV1)と努力肺活量(FVC)には、一定の効果がありそうです。
詳しくみていきましょう。
FEV1は、水泳群 53人と対照群 57人で、水泳群に有意な効果はなく(MD 2.88, 95% CI: -0.99 to 6.75, p = 0.15)、研究間の異質性はありませんでした(I 2 = 0%, p = 0.97).
FEV1%(L)は、水泳群と対照群にそれぞれ46人を対象とし、水泳群のほうがFEV1%(L)に効果がありましたが、その効果量は小さいものでした(MD 0.22, 95% CI: 0.04 to 0.40; p = 0.01)。研究間に異質性はありませんでした(I 2 = 0%, p = 0.95)。
FVCは水泳群58人、対照群78人が対象で、かなり高い異質性(I 2 = 72%, p = 0.006)を示しました。水泳群に有利なFVCに対する効果が示された(MD 7.18, 95% CI: -0.15 to 14.51; p = 0.05)とされています。
(※実際は、FVCについては、95%CIが0を跨いでいるので、効果があったとするには慎重な判断が必要だと思われます)
こどものぜんそくと水泳
こちらは、メタ分析ではありませんが、これまでわかっていることのまとめとして、
- 水泳をしているほうが、ぜんそく治療にかかる日数が短い
- 症状については、いろいろな報告が混ざっています(ぜんそく発作が減る、かわらない)
- 水泳をすることで起きる大きな副作用はなさそう(気道過敏症や運動誘発性気管支収縮)
水泳は、ぜんそくのお子さんにとっても取り組みやすい運動と言えるでしょう。
参考文献
- Ramachandran HJ, Jiang Y, Shan CH, Tam WWS, Wang W. A systematic review and meta-analysis on the effectiveness of swimming on lung function and asthma control in children with asthma. Int J Nurs Stud. 2021;120:103953. doi:10.1016/j.ijnurstu.2021.103953