水泳といろいろな健康を考えるシリーズ。
水泳は、心肺機能や、生活習慣病などにも良いとされています。
一方で、プールでは、健康上、注意しておくべきこともいくつかあります。
例えば、プールに含まれる細菌や、プールの消毒する際に生じる化学物質など、環境中のもの。そのほか、怪我や事故なども、気を付けなければなりません。
今日は、とくに、子供の頃の水泳と「ぜんそく」の関係について見ていきましょう。
子供の頃の水泳参加とぜんそくの発症
「つーん」、と、独特の消毒の匂い、プールに入るとしますよね。
これが、体に悪い影響をあたえるのではないか?ということで、いろいろな調査研究がされてきました。
「ぜんそく」についてもこれまでにもいろいろな研究がなされていて、2017年には、子供の頃の水泳参加とぜんそくの発症についての系統的レビュー+メタ分析が実施されています(1)。
ぜんそくとプール通いの関連性については、いろいろな結果が出ていて、7つの研究を統合的に解析されています。
今回注目しているのは、子供の頃の屋内プール消毒により生じる物質への曝露とぜんそく診断との関連性についてです。子ども(0~16歳)のコホートで、消毒により生じる物質への曝露の定義が明確であるものが対象となっています。
スクリーニングの結果,2928件の文献の中から7件の報告(n=5851人)が含まれました。
プール通いとぜんそく有病率との関連性の報告されたORは0.58から2.30でした。
今回のメタアナリシスでは、プールに通う子どもと、そうでない子どもの間にぜんそく発症について差を確認できませんでした(OR, 1.084; 95% CI: 0.89-1.31)。
結論
子供の頃に水泳をしても、医師に「ぜんそく」と診断される可能性は高くありません。今回の検討によると、本疾患と屋内プール通いとの関連性はまだ不明です。
子どもにとって、衛生環境が整ったプールでの水泳は、「ぜんそく」発症の観点から見ても、ひとまず安全なスポーツだと言えそうです。
参考文献
- Valeriani F, Protano C, Vitali M, Romano Spica V. Swimming attendance during childhood and development of asthma: Meta-analysis. Pediatr Int. 2017;59(5):614-621. doi:10.1111/ped.13230